『対岸の彼女』 著:角田光代 

対岸の彼女 (文春文庫 か 32-5)対岸の彼女 (文春文庫 か 32-5)
(2007/10)
角田 光代

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お勧め度:★★★★★

あらすじ
「専業主婦で、三歳になる一人娘がいる、小夜子。
一方、ベンチャー企業の社長で、バリバリのキャリアウーマン、葵。
ハウスクリーニングの仕事に応募した小夜子と雇い主の葵は、
大学の同期だったと知り、意気投合。
しかし、≪主婦、子持ち≫⇔≪独身、子どもがいない≫などの、
世間のレッテルにより、徐々に隔たりを感じるようになり・・・」

2005年、第132回直木賞を受賞

テーマは、女の友情
ベタやし、陳腐なモノになりがちやけど、
この作品は、まず、視点が面白い

語り手は、三十路を少し超えた、専業主婦の小夜子と、
高校生の時の葵。
小夜子の生きている‘現在’と、葵のひと夏の‘過去’が、
交差したと思ったら離れるっていう、絶妙なあんばい
上手いなぁ拍手 パチパチ

次に、徹底した対比
‘現在’の二人の社会的立場や、ソトからみた性格は、ほんまに対極。
専業主婦、子持ち、引っ込み思案、内気、そして地味な小夜子。
それに対して、女社長、キャリアウーマン、独身、快活、饒舌、それに派手な葵。
巷で流行りの、‘勝ち組’、‘負け組’の心理を見事に描き出している
とはいえ、人生に「勝ち負け」なんて、元々存在しないんだけどね

後は、おなじみの際どい筆使い
クスクス笑える〜こんなんあるある〜と思ったら、
背後から突き飛ばされたような衝撃を受けたり・・・にくいわぁ笑

一番同感した、葵の語りは、

異国って、『ここ』とは違うじゃない、人はみんなわかりあえるとか、人間なんだから同じはずとか、そういうのは嘘っぱちで、みんな違う。みんな違うってことに気づかないと、出会えない。
(P.164)

みんな違う。同じ人間なんて、いない。
だからこそ、人との出会いは、かけがえのないものなんよね

[2008/08/17 22:47] 昼ドラ小説 角田光代 | TB(0) | CM(0)

『空中庭園』 著:角田光代 

空中庭園 (文春文庫)空中庭園 (文春文庫)
(2005/07/08)
角田 光代

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お勧め度:★★★★


あらすじ
「築17年の“ダンチ”に暮らす、京橋一家。
“何ごともつつみかすさずに”を信条にしているけれど、
実際は“逆オートロック”。玄関は開けっぱなしだけど、
奥には、家族それぞれの秘密の扉がある。
その扉を覗いてみると・・・」

2003年、第3回婦人公論文芸大賞受賞

妄想好きで、家族に対して“秘密”を作りたかった、
高2の長女、マナが語る「ラブリー・ホーム」

透明のコップみたいに中身が無くて、フラフラ女の元を渡り歩く、
Hしか頭にない、パパが呟く「チョロQ」

“絵に描いたような家庭”の主婦を意地でも演じようとして、
ちょっとヒステリーなママが嘆く、「空中庭園」

へそまがりで、偏ったモノの捉え方をして、思ってることを上手く
ママに伝えられない、おばあちゃんがぼやく「キルト」

“家族なんて作らない”と心に決めているのに、なぜか京橋家と深く
関わってしまっている、パパの浮気相手のミーナが吐き捨てる「鍵つきドア」

学年“シカト”を、“童貞”でないことで何とか耐えていて、
かなり大人びてる中3の長男、コウが語る「光の、闇の」

見た目は完璧な家庭でも、実は壊れてる・・・その壊れてるトコロを、
少しずつ、ひたひたと迫ってくるような闇のように、
6人のクセのある登場人物で、皮肉満載、くすっと笑える感じに仕上げてるのが、
この作品の魅力パパはボロカスに罵られます
あ〜、「ホテル野猿」は、当分頭から離れへんわぁ笑

後、マナとコウの関係は、あたしと弟の関係とほんまそっくりで、ビックリした
マナが頭の中で考えたことをコウに話すと、「キショい」と、
冷たく返されてしまうあたり、ほんまおんなじやわって感じた笑
どうせ、キショいですよ〜

一番気に入った一文は、

こうしてまた、いくつかの過去はこの家の蛍光灯の下に引っぱり出され、よきものとして共有される。
(P.13)

共有出来るモノは共有して、秘密はこっそりしまっておきたいよね

手作り餃子みたいな作品

[2008/05/27 02:07] 昼ドラ小説 角田光代 | TB(0) | CM(0)